懐食みちばでルーシーリー展を
やるようになったきっかけを教えてください。
絵画や陶器の幅広いコレクションをお持ちのコレクターの方が、道場六三郎さんと懇意にしていらして、道場さんのお店でぜひルーシー・リーを見せてあげたいとおっしゃったのがきっかけです。
私は「懐食みちば」で毎回の展示する作品を選ぶところから、キュレーションしています。はじめは盆栽とのコラボレーション展示というお話を伺って、とてもびっくりしたんです。けれど実際に並べてみると意外になじんでいるなと感じています。
ルーシー・リーは、はじめは生活のためにボタンや普段使いの食器などを多数制作して、自分のつくりたい形と色をきわめていってからも自分の器は使うためのものと語っています。料理にも使えるキャセロールのフタ付容器も作っています。実際にコーヒーカップなど、毎日使っておられる方もいるんですよ。ですので、ここでは作品を食器として使うのは難しいですが、お料理に使う目的で器を創っていたと思うと、ルーシー・リーの器をレストランに展示するというのもまたおもしろいアイディアだと思います。





西さんとルーシー・リーとの出逢いは
どんなふうだったのですか?
学生の時に、アメリカで美術史を専攻したのですが、そのときに実技をとらなければいけなくて陶芸をとりました。そこで好きな作家の作品についての課題があり、図書館へ行った時にルーシー・リーの作品集に出会いました。すっかり作品に魅了されて作品を見るために毎日毎日、通いました。
一番すきなのは、"ゆらぎ"ですね。チューリップのようにすくっと立ち上がっていて、口縁が意図してはできないようなゆらぎをしている。繊細なのに力強くて、あやういけれど安定している。ルーシー・リー自身がそういう方だったようですが、相反するものを同時に持っている。それから、90歳までひたすら作品を創り続けてきた生き方は、女性にとっても励みになるのではないでしょうか。





ルーシー・リーは
どんな方だと思いますか?
ルーシー・リーにはお会いしたことはないんです。
本物の作品には1994年ニューヨークのメトロポリタン美術館で出会いピンクのスパイラル花生けに感動しました。伝記を翻訳させていただき関係者からいろいろ話を聞きました。彼女は小柄で美しくてもの静かな方でしたが同時に内面はとても強くで頑固でさえあったと何人もの方がおっしゃっています。すべてを捨ててイギリスに亡命した彼女自身の人生を考えると、強い意志をもっていないと作り続けることはできなかったことでしょう。作品と同じようにルーシー・リーは繊細で細やかで優雅な方だったと思います。そしていつも背筋をきりっとのばして生きた方だと思います。そこに魅力を感じます。


プロフィール


西 マーヤ
ライターとして新聞や欧米の雑誌に陶芸関係の記事を執筆。日本の陶芸家を海外に紹介する活動や展覧会の企画も行っている。
2002年「生誕100年記念ルーシー・リー展〜静寂の美へ」の展覧会や現在巡回中のルーシー・リーと共に作陶を続けたコパーの芸術を紹介する「ハンス・コパー展ー20世紀陶芸の革新」も企画している。
トニー・バークス著ルーシー・リー唯一の伝記などの翻訳も。
懐食みちばでの
作品展示
「懐食みちば」では1997年以来、店内にルーシー・リーの陶芸作品と、森前誠二氏の盆栽のコラボレーション展示を行っています。道場六三郎氏の斬新なアイデアが盛り込まれた創作和食を、ルーシー・リー作品と盆栽が奏でる魅力的な空間でいただくことができるとても大胆な企画です。ルーシー・リー作品はケースもなくそのまま展示されていて、その繊細な息づかいなどを直に感じることができます。(作品に触れることはできません)



懐食みちばでの
これまでの展示













2010年4月。
2つのルーシー・リー展
国立新美術館での国内初の大規模な回顧展開催にあわせて、「懐食みちば」でも特別なルーシー・リー展を開催予定。いつもより点数を増やした展示のほか、道場六三郎氏による期間限定の特別料理「ルーシー・リーに捧げる一品」を味わうことができます。

懐食みちば ルーシー・リー展
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